手術時の出血に対する輸血や輸液について
わぁ!出血した!それで、輸血はしないの?そうです、いきなりはしません段階があるのです。
手術中の輸血は組織に十分な酸素供給ができなくなった場合に行われます。出血によって血液が減少し循環血液量が低下すると、前負荷が減り血圧は低下し組織に十分な酸素供給ができません。そのため、輸液によって循環血液量を保つということもしますが、血液が希釈されてしまってその結果酸素供給ができなくなるという場合もあります。
じゃあ、どのくらい出血したら輸血するの?教えてよ!バーニー!
バーニーは教えられません、なので色々読みながら書くけど出典は自分で見つけてね、ジョニー
人の循環血液量はどの程度あるのか?
人の血液量はどの程度あるか、というと体重の1/13と言われています。
体重が60kgの人で言えば60÷13≒4.6 kgとなります血液1ℓの重さは約1 kgですので,この例では約4.6ℓとなります。もっと言うならばDDGアナライザを用いて得た結果では男性が約84ml/kg,女性は約80ml/kgとなります。女性のほうが少ないですね、しかし個人によってこれはばらつきが大きいです。
あまり輸血はしたくない
輸血にも合併症があります。アレルギー反応や感染症、さらに血液型不適合輸血、TRALI(transfusion-related acute lung injury;輸血関連性肺障害)を引き起こす可能性があり、さらに免疫系を抑制します。そのため極力輸血を行わないような管理や自己血輸血を利用します。
輸血製剤と輸血の目安
晶質液
生理食塩水,乳酸加リンゲル液など。
循環血液量の20%以下の出血が疑われる場合に使用します。
人工膠質液
HESやデキストラン製剤。
循環血液量の20-50%程度の出血が疑われる場合に使用します。
等張アルブミン製剤
循環血液量の50%以上の出血が疑われる場合に使用します。また、血中のアルブミン値が3.0g/dl未満に低下している場合にも使用。
赤血球濃厚液(MAP)
保存期間は21日間、赤血球を補充するために使用します。
周術期の組織の酸素
酸素化に必要な最低限度のヘモグロビン濃度は5g/dlであり、高齢者は6g/dl程度です。症例によって変わりますが、大体の目安で8g/dlで輸血準備を開始し、7g/dlでMAP血が開始されます。手術終了時にヘモグロビン濃度を最低でも8g/dl以上、できれば10g/dl以上になるのが望ましい。
保存期間は-20℃以下で1年間。
大量に輸血が施行され、希釈性凝固障害により止血困難の場合に使用されます。
投与基準はAPTTが基準値の2倍以上もしくは25%以下です。
血小板濃厚液
保存期間は4日間と短い。
循環血液量相当ないし2倍以上の出血があり、大量輸血が施行され止血困難と共に血小板数が5万/μl以下に低下している場合や血小板機能が低下している場合に用います。