Aライン(観血的動脈測定)とは?その見方・適応
観血的動脈圧測定
動脈内にカテーテルを留置して動脈内の圧をトランスデューサーで電気信号に変換しモニター画面に表示しています。英語でartery line と呼ぶためAラインとも呼ばれます。
この場合は1拍ごとの血圧波形と収縮期/拡張期(平均動脈圧)の数値を表示することができ、実際の数値は1拍ごとではなく何拍か毎の代表値です。
適応
頻回に採血が必要な場合
循環動態の急激な変化が予想される場合(患者要因と手術要因双方あり)
血圧がマンシェット(普通の血圧計)で測定できない場合
継続的な血圧変化を監視する必要のある場合(低血圧麻酔,人工心肺手術など)
また、Aラインでの血圧(A圧)では動脈波形を見ることができます。
この一番高いところが収縮期圧、一番低いところが拡張期圧です。
波形を観察するポイントは5つあります。
① 波形の立ち上がり(dt/dp)
dp/dtが急なほど心収縮力が高いと考えられます
② 波形の戻り
aが低くbが急峻なほど血管抵抗は低いです
③ 波形の硬さ
動脈硬化が強い場合には立ち上がりが垂直に近く先細りの波形になります。
敗血性ショックのように動脈の抵抗がない場合は傾斜はゆるやかで丸みを帯びた波形になります。
④ 大動脈弁閉鎖ノッチ
立ち上がりから大動脈弁閉鎖ノッチまでのところを収縮期、その後ろが拡張期。
収縮期に相当する部分の面積に囲まれた面積が一回拍出量を反映します。
また、大動脈弁閉鎖ノッチの位置が低いか見られない場合は循環血液量が十分にない(ハイポボレミア)か末梢血管抵抗が低いことを表しています。(大動脈が閉鎖するまでに左室内血液をすべて拍出してしまっているため)
⑤ 動脈圧波形の呼吸性変動
胸腔内に異常(緊張性気胸や心タンポナーデ)があるか出血などで循環血液量が大きく減っている場合は呼吸性に波形の頂点の動揺が大きくなります。動脈圧波形の最も高い位置を目で追ってみれば呼吸性に変動しているかどうかが判断できます。