手術器械:基本編(鋼製小物・画像あり) これ覚えておけば開腹手術はなんとかなる
手術器械、本当にたくさんあります。種類・規格の違うものを含めて病院にはおよそ2000種置いてあります!(病院によって差はありますが)
これを手術別・科別に使います。そんなに沢山覚えられないよ!なんて嘆きの声が聞こえそうですね。しかし、基本となる器械さえ覚えておけば後はそんなに怖くありません。そこで本記事はとりあえずこれだけ覚えればなんとか手術についていけるのではないかといった鋼製小物たちを紹介しておきます。まずは開腹編。
剪刀(ハサミのことです)
・クーパー
太くて短い剪刀です。これで主に糸を切断します。
・メイヨー
クーパーより長く、少し細いです。結紮したあとの血管を切断します。
・メッツェンバーム
血管を切断するためのものですがメイヨーより更に細い剪刀です。こちらのほうがよくつかわれるかと思います。
鑷子(ピンセットのことです)
・スウェーデン鑷子
普通の鑷子より少し細め、先端に横溝があり開腹後によく使われます。
スティーレ社という会社がこの鑷子を出しておりスウェーデン鑷子という愛称呼ばれています。
・ドベーキー鑷子
スウェーデン鑷子よりも更に細い、開腹後に使う鑷子です。
上の画像のように先端の溝が縦になっています。スウェーデン鑷子と比べると更に繊細につまめるようになっています。
・鈎のある、なしについて
鑷子にカギのついたものとついていないものがあります。このカギを鉤がある、ない、と表現します。鈎のあるものは主に皮膚など強く持ちたい部分に使い鈎のないものは組織を挫滅させたくない部分に使います。
鉗子
・コッヘル
皮膚などに強い把持したいときに使われます。先端に鈎がついています。
・モスキート
なんというか先端が細く、鈎がなく繊細です。糸を把持したり、結紮糸を持ったり、ベッセルテープを持ったり、剥離したりと便利に使います。誰だよ、スペンサーっていうやつ!
・ペアン
コッヘルに鈎がない奴は大体ペアンだ。覚えたか。
・ケリー
ペアンが長くなったようなもの。術野が深いときに剥離に使ったり結紮糸を持ったりします。
・ミクリッツ
ケリーに鈎がついた形のもの。腹膜を把持するときに使います。
・アリス
可愛い名前ですね、見た目も可愛い。鈎ありです。けど切断した後の腸管を持つため使ったあとはンコまみれになります。名前も見た目も可愛いんだけどね。術野が不潔にならないよう取り扱いに注意。
・リガクリップ
結紮糸の代わりにクリップを使って血管を締めます。この鉗子専用のクリップというホッチキスの針みたいなものがあり先端にはめて持ち手部分を握ると針が折れ曲がり血管を締めるようにできています。画像の持ち手は青色ですが針の太さ、大きさによって白色や黄色などの持ち手が存在します。
持針器
・マチュー
これで縫合していきます。針の大きさは2-0以上。
特に閉腹、閉胸時に使われます。
・ヘガール
マチューで使われる針よりも細い針の時に使われます。
開創器
・扁平鈎(ランゲンベック扁平鈎)
開腹するまでこれを使って創を引きながら術野を深めていきます。
・ゴッセ型開創器
開腹後に腹壁を押し広げ術野を確保するために使われます。
・アドソン開創器・ウェイトライナー
見た目とても良く似ています!がアドソンがでかいほう、ウェイトライナーは小さいほうです。アドソン開創器はゴッセ型開創器と同じ目的で使われ、ウェイトライナーは小さく、浅い創で使われます。
メス
沢山ありますが使うのはだいたい下の3種類
・15番
小さな開創に使います。
・11番
主に開腹手術ではドレーンの挿入に使われます。他に使うところは内視鏡手術でのトロッカー挿入する穴をあけるときくらい。
・10番
開腹時など大きく開創するときに使います。