手術室の勉強会

自分の覚え書き。手術室で必要なアレコレと漫画をかくよ。

手術中・抜管後のモニター、正常値と観察項目

 手術中の心電図,血圧,SpO2,体温,BIS,カプノメーターの正常値とその評価を一覧にしています。また抜管後の観察項目も挙げてます。

 注意:出典は載せてない!

モニター

 

正常値

何をみる?

 

 心電図

・心拍数(徐脈・または頻脈ではないか)

100<頻脈,徐脈<60

不整脈(脈の整・不整,P波の有無,PQ時間,QRS時間はどうか)

PQ時間≦0.2秒

QRS時間≦0.1秒

QT時間≦0.36~0.44秒

・心筋虚血・心筋障害(ST変化はないか)

虚血の場合

T波の増高,陰性(冠性)T波

障害の場合

ST低下,上昇

電解質異常(QT時間はどうか,T波はどうか)

カリウム血症

QT時間が短縮し、T波は高くなる

カリウム血症

T波が平たくなり、U波がT波より大きくなる

どこに貼る?

・赤は右の鎖骨下

・黄色は左の鎖骨下

・緑は左肋骨下から二本目付近

・白は胸部誘導第5肋間と左前腋窩線上

・黒はアースのため、右足の領域に着ける

*筋電図が入りやすいため、腕や腹部は避ける

 

血圧

 

至適血圧

(収縮期,拡張期)

<120,<80

正常血圧

<130,<85

正常高値血圧

130~139または85~89

Ⅰ度高血圧

140~159または90~99

Ⅱ度高血圧

160~179または100~109

Ⅲ度高血圧

≧180または≧110

孤立性収縮期高血圧

≧140かつ<90

収縮期血圧拡張期血圧がわかり、大動脈弁閉鎖不全症ではその脈圧の増大が特徴的。波形からdp/dtの低下が認められdicrotic notchが存在しない場合には末梢血管抵抗が弱い状態であると評価する。また、波形上面積でおよその一回拍出量の推定をしたり、呼吸変動が強ければ循環血液量が低下していると評価する。

パルスオキシメーター

 

96~99%

呼吸不全はPaO260mmHg以下とされているが、そのSpO2は90%に相当する

動脈血酸素飽和度を非侵襲的、連続的に測定することができる。

体温測定

 

低体温35.5度以下

正常35.5~37.0度

微熱37.0~37.9度

中等度高体温38度台

高体温39度台

体温の変動を早期に発見し、それに伴う合併症(不整脈・心筋虚血の発生頻度の増加,覚醒遅延,易感染,創傷治癒の遅延,出血・凝固時間の延長,シバリング,末梢冷感)の予防をする。

BISモニター

BIS

100覚醒

  浅い~中等度の鎮静

70深い鎮静/浅い催眠(想起の可能性が低い)

60

   適切な鎮静(意識のある可能性が低い)

40 深い催眠

0      EEGがフラット

 

EMGがみられる場合にはBIS値の読み取りに注意をする。

 

SQIは信号の品質を表示する緑のバーが多いほど良い状態

 

EEG

心電図やペースメーカーほかのデバイスの混入に気を付ける。

BIS…

BIS値が高いほど覚醒を意味し0~100の数値で示される。

EMG(筋電図)

70~110Hzのシグナルの絶対値(dB)を筋電図として測定する

SR(suppression rate)

過去60秒間に測定された脳波の平坦脳波の割合を示す。特に低体温麻酔や心停止、ショックの時に重要な意義を示す。

SQI(signal quality index)

過去60秒間での良好なEEGシグナルの割合であり、電極の状態を知ることができる。

EEG

リアルタイムの脳波を示す。今まで麻酔深度の調節は心拍数や血圧の変動といった交感神経反応を確認しながら行われてきたが、モニタが普及した現在、麻酔の鎮静に関して脳波から算出されるBIS値を指標に、鎮静薬の投与量を調節することがスタンダードとなっている。

カプノメーター

 

・PETCO2

血中二酸化炭素濃度の範囲内である40±5mmHgよりも1~5mmHg低い値が出る。

・呼吸数14~20回/分

25>頻呼吸,12<徐呼吸

 

・呼気に含まれる二酸化炭素の濃度

・呼吸数

・血中の推定二酸化炭素濃度

二酸化炭素の排出状態

・気道閉塞の有無

気管挿管の成否や呼吸回路のはずれ

 

  1. 血ガス結果

目的:ガス分析・酸塩基平衡の評価

 

正常値

 

PaO2

80~100mmHg

基準値以下になる原因

換気障害:肺胞への酸素の取り込みが低下すること1回換気量が少ないと肺胞への酸素の取り込みが低下する。

拡散障害:肺胞から肺毛細血管への酸素の受け渡しが低下すること。間質性肺炎、肺水腫など

運搬障害:肺血流量が低下し酸素を全身に運ぶことができなくなること。肺血栓塞栓症など

換気血流比不均等分布:換気のある肺に血流がない、あるいは血流のある肺に換気がない

PaCO2

35~45mmHg

基準値以上の場合換気障害が考えられる。体内にCO2が蓄積するのでアシドーシスになる。基準値以下の場合肺胞過換気の存在を意味する。体内のCO2が低下するため、亜アルカローシスとなる。

Hb

男性13.8~16.6g/dl

女性11.3~15.5g/dl

↑多血症(真正多血症と二次性多血症)

↓貧血

麻酔中のPaO2の値は?

⇒純酸素ならば450mmHg

正常値と異なるのはなぜ?

⇒麻酔中は酸素濃度を空気中よりも高い濃度で維持することが多いため基準値以上の値を示すこともある。

  1. 抜管時患者の観察

・呼吸音

・努力呼吸、呼吸困難の出現

・頻呼吸

・喘鳴

・酸素飽和度の低下(90%未満の経皮的動脈血酸素飽和度<SpO2>もしくは抜管前より10%の低下)

・奇異性呼吸

不整脈や頻脈または徐脈の出現時

・血圧の上昇または低下

・意識レベルの低下または不穏状態

・血ガス値の異常(PaCO2の上昇)

・乏尿(0.5ml/kg/hr以下)または無尿

・酸塩基平衡異常(pH<7.35)など

・排痰の性状・量など

嗄声の有無