手術室の勉強会

自分の覚え書き。手術室で必要なアレコレと漫画をかくよ。

ハイリスク患者の術前・術中観察ポイント~高血圧編

ハイリスク患者の術前・術中観察ポイント~高血圧編

高血圧症は術前合併症の中で最も多い合併症です。術前の血圧コントロールが不良の患者は術中・術後に時として致命的な合併症を引き起こします。正常血圧症例もしくはコントロール良好症例と比較して心筋虚血などの循環合併症や脳血管障害腎不全などの術後合併症の発生頻度が2~3倍になると言われています。

 

患者の高齢化に伴い、頻繁に遭遇する高血圧患者に対し手術室看護師は高血圧が手術や麻酔に与える影響、また手術や麻酔が血圧に与える影響を理解し、術中術後に予想される合併症に対し、予防的に、また早期に対処できるよう備える必要があります。

高血圧の背景には全身の動脈硬化が隠されています。高血圧患者はただ単に血圧が高いのではなく、脳血管障害、虚血性心疾患、腎機能障害を有している可能性が高いです。また、高血圧が長期にわたって放置されている症例では、心肥大をきたしていることもあります。そのため周手術期管理ではこれらのことを念頭に置かなくてはなりません。

 

術前の血圧コントロール

コントロール不良の高血圧を有する症例では周術期の心合併症のリスクが高く血圧変動も大きくなります。そのため術前のコントロールが重要です。βブロッカーは内服の中断によって反跳性高血圧をきたすおそれがあるため、手術当日内服をします。ACE遮断薬、ARBは手術中の低血圧や低カリウム血症が起こりやすくなるとされており手術前日で中止になります。

周術期の血圧コントロール

手術中の血圧は変動しやすいです。高血圧患者の術中血圧を正常血圧にて管理することで臓器血流量は減少し、臓器障害を起こす可能性があります。血圧上昇では脳出血の可能性がありまた頻脈によって心筋虚血をきたしやすくなります。手術中の平均血圧70mmHg以上を目指して麻酔科が調整をします。