手術室の勉強会

自分の覚え書き。手術室で必要なアレコレと漫画をかくよ。

滅菌バッグの有効期限について半年?1年間?それとも?

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 施設によってさまざまですが、大抵上の画像のように滅菌バッグで管理されているものには端のほうに滅菌日と滅菌の有効期限が書かれています。既滅菌物の有効期限(安全保存期間)には時間依存型無菌性維持(TRSM)とイベント依存型無菌性維持(ERSM)の2通りの考え方があります。

 

 時間依存性無菌維持(Time-Related Sterility Maintenance)というのは無菌性が時間が経てば損なわれるという考え方で包装材料や形態に応じて有効期限を管理し設定する方法であり、イベント依存型無菌性維持というのは既滅菌物を汚染する可能性のある事象が存在すれば時間に関係なく無菌性は破綻するという考え方です。ここでいうイベントとは包装材料、形態、滅菌方法、保管条件、搬送方法、取り扱い方法などでありこれらを管理することで有効期限を設定せずに管理を行います。条件がクリアされれば半永久的に施設の責任のもと無菌性が保障されます。

保管方法についてはこちらを参照

scrubnurse.hatenablog.com

 施設によって滅菌バッグの有効期限は1年、6か月、3か月と設定されていますが電池を滅菌する以外この期限はおそらく盲目的に使われていると考えられます。海外ではERSMの考え方に基づいた管理方法を取っており有効期限は表示されておりません。

 また、ERSMの管理方法を取ることによって有効期限内に使われなかった器械を再滅菌するコストもなくなります。TRSMによる管理方法を取っているのならば有効期限内に使われなかった器械は再滅菌時どうしていますか?使われなかったからといって洗浄せずに再滅菌していませんか?有効期限で滅菌性が破綻しているという考えのもと管理するならば洗浄をしなくてはいけません。洗浄を必要としないという考えなのであればERSMの管理方法を取る必要があるでしょう。