気管挿管ってなに?挿管の種類
気道にチューブを入れて固定し、他動的に換気します。
麻酔ではさらにそこから気化した麻酔の薬を入れて全身麻酔の管理を行います。
気管挿管に伴う咽頭展開は麻酔科医が行う操作の中で最も侵襲が高いです。
以下からは参考にした文献もありますが、ソースはご自分で
挿管チューブの選択
・挿管チューブ(成人男性:8.0~9.0mm、成人女性:7.5~8.0mm)
・小児の場合、新生児で3mm,1歳児で4mm,4歳児で5mmを選択する。しかし、成長の個人差が大きいため、胸部単純も参考にされます。
・1歳児以上の小児では[内径=4.0+年齢/4]の式や、小指の太さなども参考になる。チューブの深さは新生児で10cm,1歳児で12cm,4歳児で14cmを基準にします。
咽頭展開
・十分に筋弛緩が得られていることを確認し、咽頭展開を行う。
・患者の頭位をスニッフィングポジションにする。方法は8~10cm程度の枕やタオルを入れ頭部を挙上させるとともに後屈位にして、鼻を突きだして匂いをかぐような姿勢を保つ。耳介と胸骨が同じ高さとなるようにする。頸椎損傷など頸部可動域に制限がある場合は枕を入れない。
・筋弛緩薬を使用できない自発呼吸を残した導入では、麻酔深度が十分深くなってから行う。また、4%リドカインスプレーの咽喉頭への噴霧もする。
挿管困難とは
・困難気道とは、トレーニングを積んだ麻酔科医がマスク換気か気管挿管、あるいは両方の困難を来す臨床状況であり、特に麻酔換気も挿管もできない場合をCVCIという(cannot ventilate, cannot intubate)。挿管困難とは挿管操作に10分以上を要した場合、もしくは3回以上の挿管がこことみられた場合。
・Mallampati分類でクラスⅢ以上や頤から甲状切痕までの距離が6.0cm以下の場合は注意が必要。
経鼻挿管の場合
・口腔内及び頭頸部の手術や、術後しばらく挿管による気道管理が必要な症例で適応になる。また、挿管困難症例ではファイバーを用いて挿管することがあるが、その場合、経鼻のほうが期間チューブの固定性が高いため容易である。
・鼻腔が十分に広い場合は男性で7.0~7.5mm,女性で6.5~7.0mmの気管チューブを用意する。
・マギル鉗子を用いて期間チューブの先端を声門に誘導していく。
・合併症として鼻出血と上咽頭後壁粘膜の損傷がある。稀にこれによって咽後膿瘍を生じ、気道閉塞に陥ったり、膿瘍が下方に進展した場合には縦隔に至る危険性がある。
ラリンジアルマスクの場合
・利点には咽頭鏡が不要、侵襲が少なく麻酔導入時の循環動態が少ない。術後咽頭痛や嗄声の頻度が少ない,挿管困難症例でも使用できることが多いという点が挙げられる。
・欠点には気道確保の確実性にかけ、誤嚥のリスクが気管挿管に比して5割程度上昇する。15~20cmH2Oを超える陽圧換気は胃にガスを送り込み誤嚥の可能性を高める。
ラリンジアルマスクの適応
・仰臥位での手術であること。
・予定手術時間が3h以内であること。
・高度の陽圧換気を必要としないこと(開胸術や上腹部の手術、気腹を用いる手術、高度肥満の患者や妊婦では使用しない)。
使い方
・均等になるよう脱気したあと後面にキシロカインゼリーを塗布しておく。挿入後に空気を注入する。後に回路を接続する。
意識下挿管(awake intubation)
・十分な酸素化を行いながら、フェンタニル投与をし咽頭鏡で目視しながら咽頭、喉頭、気管へと繰り返しキシロカインスプレーを行う。咽頭反射が消失していることを確認して挿管を行う。
迅速導入(rapid sequence induction)
・日本ではクラッシュインダクションとも言いフルストマックと考えられる症例で行う。
・十分な酸素化(6l毎分で3分)。意識消失に合わせて輪状軟骨を圧迫しておう吐による誤嚥を防ぐ。このとき換気はしない。筋弛緩が得られたら気管挿管を行う。挿管が困難で1回目の挿管に失敗した場合は輪状軟骨を圧迫したまま換気を行う。
挿管チューブの種類についてはこちら