手術室の勉強会

自分の覚え書き。手術室で必要なアレコレと漫画をかくよ。

縫合針の種類:角針と丸針だけ覚えておけばいいってもんじゃない

 縫合針には目的に合わせて様々な形があります。よく他のサイトでは角針と丸針の違いについて紹介されていますが、手術で使われる縫合針にそれだけの違いしか無いわけがありません。ここでは基本となる針の形についての説明や規格、見分け方について説明していきます。

角針と丸針

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 角針と丸針は針の先端の形が大きく異なります。角針は先端が上の図のように尖っており丸針は形が丸く円錐のように先端が尖ります。角針は皮膚のような固い組織を縫合したい場合に用い、丸針は腸管などの柔らかい組織の縫合に用いられます。

 

段機針(だんきしん)

 段機針とは簡単に言うと上の図のように上部に糸を通す部分のある縫合針のことです。針に段機がある、ないという言い方をします。

 段機のない針は既に縫合糸が付いていますが、段機針で縫合する場合は自分で縫合糸を通して使う必要があります。しかし、縫合糸さえあれば何度でも同じ針を使うことができます(何度も使っていくうちに針の鋭さは失われていきますが)

 

CR(control release)

  直前に段機針について説明しましたが、段機のない縫合針について。段機のない縫合針には直接針に縫合糸がついています。この針は強く引っ張った時、縫合糸が針から離れるか否か意図して設計がされています。縫合糸が針から離れるように設計されたものをCR(コントロールリリース)と呼びます。図中央に黒地に文字でCR/8と書かれていますね?書いてあるものがCRです。ちなみに後ろの数字はこのパック内に何本入っているかを示します。

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他にも図のよう縫合針のパックには様々な情報が書かれています。針の曲がり方も弱弯と強弯があり、浅く縫合をしたいときには弱弯を深く縫合したいときには強弯が用いられます。

 

直針

 使われる場面は限定的ですが、縫合針には魚の釣り針のような形の他にも裁縫で使われるような直線的な針もあります。

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これを使うときはナミナミ鉗子(本当にこういう名前…)を用います。先端がなみなみしています…。

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ナミナミしている間に消化管をかみ、糸を通すと

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このように縫合することができとても便利です。