糸を切るときどれだけ残して切ったらいいの、種類によって違う縫合糸
手洗いをする学生さんに医師がよく言うこの言葉
「学生さん、ハサミもって結んだ糸切ってくれる?」
さあ、ハサミと言われても清潔野には何種類ものハサミ、しかも同じ種類でも長さの違うものがいくつもあって困ります。
しかも、言われた通りハサミで切ると
「ちょっと短すぎるよ!これじゃ抜糸するとき困るでしょ!」とか
「いや、これ残す糸長すぎるから。」とか言われる。
もう、なんなん。なんて思ったことはありませんか。
実は縫合糸には種類があり、抜糸するかしないかによって残す縫合糸の長さを変えなくてはいけません。
まず、糸を切るハサミについて説明します。
術野で使用するハサミは色々種類がありますが、ここでは割愛
糸を切るハサミは クーパー といいます。
医師にハサミで切るように頼まれたら器械だし看護師が何も言わずともハサミを渡してくれると思いますが、
もし渡してくれなかったらクーパーください!!と高らかに宣言しましょう。
それでも渡してくれなかったらこんな形のものを清潔野から探しましょう。
ちょうど、刃が丸く、太った感じのものですね。
手に取ってみるとクーパーの刃が曲がっていることがわかると思います。
持ち方は自分の指の曲がる方向と同じ向きで持つことです。
そして、学生で切る縫合糸といえばおそらく閉腹時や閉創時のものでしょう。
ここでようやく本題ですが、縫合糸には身体に吸収されるものと吸収されないものがあります。
短く切ってもいいものは吸収されるもの
長く切らなくてはいけないものは吸収されないもの
と覚えましょう。
吸収されないものは、後で抜糸が必要になります。
短く切ると後で抜糸が面倒です。
きっとあなたは吸収される糸と吸収されない糸とか見分けられんわとか思っているでしょう。執刀医が閉創時に何の糸針を指示しているか耳をすませてください。
きっとバイクリルとかナイロン、PDS、絹糸(けんし)とか言っているはずです。
普段でも、ナイロンやきぬいとなんて言葉は聞くでしょうからなんとなくわかると思いますが、ヒトの身体には溶けませんね。
バイクリルやPDSといった聞きなれないような言葉だったらおそらく手術で使われるような特殊な素材のものです。ちなみにこれは溶けます。
他にどんな糸が溶けるかどうかは下記を参照してください。
これでバッチリきみもハサミ使いマスター!
高らかにクーパーください!と宣言しましょう。